0.02坪の田んぼ

 山の小屋のお隣の飯塚さんはわたくしの亡くなった父親と同年齢だが、元気矍鑠として日々農作業に余念ない。もともとは貿易会社を経営していたが、農に生きる生活を求めて会社を整理し長野県川上村に移ったのち、現在地を探し当てて十数年前に住居を新築して移り住んだ。私たちの小屋の立つ土地も飯塚さんに仲介の労をとってもらい、山住まいの拠点として小さな小屋を建てることができた。以来12年が経ち、当初のヒノキ林だった傾斜地の造成のころから数えれば15年以上のおつきあいをさせてもらっている。
 飯塚さんはいまだにと言っては失礼だが、農を通じて世界の将来に深く思いをいたし、山村と背後にひかえる林や森、ひいてはそこから生み出される水の問題にまで思いが及び、自家栽培の蕎麦を傍らの小さな沢に据え付けた水車で碾いて、清冽な水で打ち立ての蕎麦を堪能するなど、じつに見事な農的生活をおくっていらっしゃるのでありますね。笛吹川河川敷の田んぼを借りて米作りも続けていて、しばらく前から古代米の黒米の栽培にも挑戦し、わたくしも時折いただくその古代米を白米に混ぜて炊いて香りを味わったりしていたのでありますが、今年、田植えの話を聞いてはたと思い当たったのであります。わたくしの生まれ育ったのは田園地帯でありますが、十代の終わりころに東京暮らしをはじめて以来、遊びやら取材やらであちこちの田んぼの風景は何十年と見続けているものの、稲の成長する過程、とりわけ花が咲き結実する実際をほとんど知らないということに、遅まきながら気づかされたのですね。もちろん本やらなにやらで見たことはありますが、しっかり撮影して写真に残しておこうと思い立ったのでありますね。
 そこでベランダに置いておけば観察も容易だし、開花の様子も簡単にマクロ撮影できるだろうと、飯塚さんに無理をお願いして、田植えの済んだ田んぼから3株ばかり引き抜いて改めてバケツ田んぼに植え直したのが次の写真であります。
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 バケツ田んぼのことはネットなどで紹介もされていますが、わたくしのベランダでどんな展開を見せるか、わたくし自身も少々わくわくです。時々の成長の様子や開花の時期にはご覧いただくことにしましょう。秋には見事な稔りを見せてくれるよう、呑みすぎて帰宅を忘れて水を切らしたりすることのないようこころしたいと思っておりますです、ハイ。
 ベランダにはこんな具合に設置しておきました。同時にいただいたコシヒカリの苗もあったので、黒米2株、コシヒカリ1株という田んぼになりました。直径30センチほどの田んぼなので面積0.02坪、むかし風の1反百姓(田んぼが1反あればとりあえず食う分はできる)という言い方でいえば、わずか0.00007反百姓で茶碗数杯分くらい収穫できればいいかもしれませんね。黒米1株、コシヒカリ2株という兄弟バケツ田んぼは小平方面のベランダで育つ予定です。
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by fuefukin | 2009-06-26 09:14 | ベランダ園芸 | Comments(0)

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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