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水無月

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 さても6月。
 雨の季節で水には不足しない季節なのに水無月とはどういうわけでしょうね。
 本来は旧暦6月の呼称でありますから、現在の暦では6月下旬から8月上旬にあたるので、ちょうど梅雨が明けて水が枯れる、文字通りの水無月という説があり、逆に田植が終わって田んぼに水を張る必要のある月「水張月(みづはりづき)」「水月(みなづき)」であるとする説もあります。一方、水無月の「無」は宛て字で、もともとは「の」という意味の連体助詞「な」であるので「水の月」を表しているという説もあって、こちらも捨てがたい。
 現在は新暦6月の異称としても使われるようになって、わたくしもこの例にならってこの記事を書いているのでありますが、「梅雨で天の水がなくなる月」「田植で水が必要になる月」といった解釈も平然とされるようになっているようでありまして、わたくしはこんな説には到底与しがたいとは思いつつも、伝承や風習ひいては文化というものは時の流れにつれて変化し、人の思いの変遷にしたがって変わっていくものでありますから、とやかく旋毛を曲げてばかりはいられないのかなとも思うのであります。

 しばらく前から林縁の下草に混じって、上の写真のような十字形の白い花(実際は苞、黄色いのが花)が目立つようになりました。ドクダミという名前からなにか禍々しい花のようなイメージを持たれることが多いかもしれませんが、わたくしにはこの6月の水の月にじつに似つかわしい花に思えるのであります。しとしと小雨降る林の道のほの暗い足下を、かすかに照らしてくれるのがこの白い花の群落なのでありますね。
by fuefukin | 2009-06-02 09:36

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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