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川岸の哲人

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 日本で普通にみることのできるサギの仲間のうち、もっとも大きな種類であるアオサギ。現代で言う青色にはちっとも見えませんが、古来より緑色やつやのある黒色まで「あお」としたわが国のことでありますから、現代では灰色としか見えないサギにもアオサギの名を与えたのでしょう。でも漢字では青鷺より蒼鷺と書いたほうがわたくしの好みでありますね。英語では Grey Heron ですから文字通り灰色のサギ。こんなところにも彼我の感受性の違いをみることができます。ついでだから
 言っておきたいのは、14兆円もの補正予算は霞ヶ関の役人と政治家ぐるみの 税金サギでしかありません。


 多摩川の支流でウグイの産卵を観察していた場所に、一羽のアオサギが舞い降りてきました。この写真で、足先から頭まで60センチ位以上、70センチ近くありそうです。首を伸ばして嘴の先までの長さを測れば、軽く1メートルを超えるのではないかと思える大型の鳥ですね。都市近郊でこんなに大きな鳥を見ることはそうはないでしょう。動きはゆったりで、あたりを睥睨する頭部のうしろで羽冠が風に揺れるのも風情があって、せわしなく動き回るセキレイなどの小鳥と違い、なにやら思索にふける姿のようであります。おもわず前回アズマヒキガエルの姿を森の哲人とたとえたのに続いて、川岸の哲人と呼んでやりたくなりましたが、望遠レンズをつけたカメラをかまえてゆるゆると近づくわたくしに抗議するかのように、大きな羽音をたてて舞い上がり、上空で旋回しながらギョエともギギェとも聞こえるけしてきれいではない濁った鳴き声を残して下流に飛び去ったこの一羽から、即座に哲人の名乗りを剥奪! しかしそれもこれも、観察者であるわたくしの一方的で勝手な思惑でありますから、この写真にはふさわしい川岸の哲人のタイトルを残してあげることにしましょう。
by fuefukin | 2009-05-04 09:57 | ネイチャーフォト

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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