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横田基地をひとまわり 5

 IHI瑞穂工場の前を通り過ぎて左に折れると、ようやくフェンス沿いの道に戻れます。左手に金網越しに広大な基地の敷地を眺めながらのんびり自転車を走らせますが、この細い道は混雑する新青梅街道を避ける抜け道のひとつになっているらしくて、スピードを上げた車がびゅんびゅん通り過ぎる。大型車ならすれ違うのにも難儀なほどの幅の道路だから、なかなかのんびりふらふらというわけにはいきません。
 滑走路のオーバーランのさらに北端は小高い丘になっていて、16号国道と新青梅街道の立体交差点までペンギンのくちばしのように続いて、そこで敷地は終るようです。文章ではなかなか伝えにくいので、またまた Google Earth から衛星画像を借りると、こんな具合でありますね。
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 右上隅が新青梅街道がくぐる立体交差点、左下に向けてゆるくカーヴを描いているのが16号国道。JR八高線も並走しています。わたくしはなるべくフェンス沿いに行きたいので、第2ゲートまでこの16号国道の基地側を行くのでありますが、同じところをこれまで車でなんべんも走っているので分かってはいましたが、これがなかなかに危険な行為でありました。というのはいちおう歩道らしきものが一段高く設けられてはいるものの、ところどころで通行禁止になっていたり草が茂っていたりで、おまけに幅が狭くてまともに自転車を走らせることができないのであります。そこで車道を行くのでありますが、西側にトンネルのバイパスが何年か前にできたので、交通量はかなり減ったものの、それでも大型トラックがばんばん通ります。バイパストンネルの上り坂でスピードをあげた大型車が地上に出て、合流するとさらに風圧は高まるのでした。
 さて、この合流点あたりで正面にこんな赤いものが基地内に見えてきます。手前で16号国道が右にカーヴしているからですが、もちろん常時見えるわけではありません。正面のフェンスの内側あたりがターミナルになっているのですね。乗降のために駐機しているというわけです。貨物の積み降ろしも同じ場所でしているようで、大型貨物飛行機が見えることもあります。
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 これは旅客機の垂直尾翼、ノースウエスト航空機の赤い尾翼です。
 かつてパイロットの世界で「Follow the red tail.(赤い尾翼を追え)」という言葉が交わされていたことがあったそうであります。ノースウエストの米国内のハブ空港であったミネアポリスやデトロイトは、5大湖沿岸で気候が厳しい立地条件のため降雪などに見舞われることが多く、ノースウエストのパイロットたちにとって荒天時の離発着は日常茶飯、そこで天候を見極めて操縦する腕が抜群に磨かれた。他の飛行機が着陸時に悪天候で迷ったとき、前方にノースウエスト機が着陸態勢をとっていたらそれに従えば万全ということのようであります。現在はレーダー管制で、管制塔の指示に従ってすべては行われるようになっていますが、着陸の順番を「ノースウエスト機に続け」と指示するような場面に、いまでも「Follow the red tail.」と管制官が伝えたりすることがあるそうです。真偽のほどは分かりませんが、いかにもアメリカらしい逸話でありますね。しかしこのノースウエストも今年中にはデルタ航空に吸収合併されて消え去る運命です。赤い尾翼はどうなるのでしょうね。 
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 正面に見えた赤い尾翼は、さほど待つこともなく北の空へ飛び立っていきました。見送ればもうスタートした基地の正門、第2ゲートはまもなくであります。最後の1分あまり、トラックの風圧にあおられながら片手で撮影した動画をおヒマならごらんください。

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 スタートするときにゼロにリセットした距離計は、ご覧の通り19.21キロを示していました。基地の総面積から円周を出してみても10キロあまり、おまけに16号国道の西側のマーケットがある部分の周りは走っていないので、なんだか距離にかなり開きがあります。周囲すべてをフェンス沿いに回れなかったこともあるでしょうし、大きく迂回せざるを得なかった場所もあります。27インチのタイヤサイズに車輪の回転数を掛けるという単純な計測機の誤差のせいもあるでしょうね。まあいずれにせよ、ほぼ20キロに及んだ横田基地ぐるっとひとまわりの小さな旅はこれにて終了。体の節々がまだちょっと痛みます。
by fuefukin | 2008-10-21 08:57 | 横田基地

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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