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ノーベル賞

 いっぺんに4人も受賞者が出て日本中たいへんな騒ぎですね。家の中までテレビカメラが押し掛け、家族もたいへん。受賞理由はわたくしにはあまりよくわかりませんね。新聞記事さえあまり理解していないような書き方で、テレビのワイドショーなどお祭り便乗のような伝え方です。
 それで思い出したのが10年以上前、ポーランドの女性詩人シンボルスカさんが文学賞を受賞したと発表される2、3日前、当時わたくしは小さな出版社の編集部に所属しておりましたが、残業をしている夜も9時か10時ころ、立て続けに何本も電話がなるのでした。電話をかけるほうもかけるほうですが、そんな時間に会社にいるほうもどっちもどっちですが、まあいずれも水商売と揶揄される仕事ですから仕方ありませんね。電話はいずれも大手の新聞社や通信社からの問い合わせでした。問い合わせの内容も同じようなもので、ポーランドのシンボルスカという詩人の詩が載っている本を出版しているかというものでした。なぜそんな問い合わせをするかの背景の説明は一切なしの、質問だけの電話です。本のタイトルと翻訳者の名前など、聞きたいことだけ聞くとそれでおしまい。いったい何のための問い合わせなのかわからないので、次のM新聞社の電話で、シンボルスカに何かあったのか、なぜ急に電話で問い合わせなどするのかと問いただすと、いえまあと言葉を濁してはっきり言いません。
 どういうルートで受賞者の情報が流れるのかわかりませんが、マスコミに伝わったところで一斉に情報収集が始まったのでしょう。ポーランドの詩人の情報など当時のマスコミはほとんど持っていなかったのだろうと思います。デスクか誰かに何でもいいから情報を集めろ! と檄を飛ばされた若い記者の困惑した様子がうかがえる電話もありましたね。記憶は定かではありませんが、当時、シンボルスカの日本語訳を載せている出版物はたしか2冊、そのうちの1冊がわたくしたちがすでに刊行していたもので、それもアンソロジーで肝心のシンボルスカの詩は2編ほどしか載せていません。まあそれほどに日本では一般的な詩人ではなかったということでありますが。いずれにせよ情報収集のやりかたの一端を垣間みた出来事でありました。
 といってこれに関係があるわけではありませんが、新聞の夕刊の一面に載るような季節の話題を新聞風に撮ったのが次の写真。近所の公園でコスモスが満開です。
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by fuefukin | 2008-10-10 06:44

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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