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新緑の日光白根山へ 1

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 早朝、中禅寺湖畔の宿から登山口の菅沼へ向かう途上、戦場ヶ原ではワタスゲの白い綿毛がシラカバの幹とこんなふうにみごとな対比をみせていました。ちょうどズミの花も盛りから終盤にかかるころで、場所によってはかなりの群落が原を占めていました。むかしの記憶の中の風景と比べてみると、ずいぶんズミの木が大きくなったような気がします。たぶん他の樹木も少しずつ湿地に侵入し成長しているのだろうと推測されます。長い時間をかけて湿原は森に変わっていくのでしょう。その大きな時間の流れのほんのわずかな縁にわたくしたちはいま生きてあるのだと実感もさせられます。
 登山口に車を止め、仕度を整えていざ出発です。モミやトウヒにシラカバ、ダケカンバ、シャクナゲなどが混じる樹林帯のジグザグを登ること3時間近く、視界がぱっと開けると標高2200メートルほどの弥陀ヶ池に到着。爆裂火口跡の水たまりみたいなものですが、このあたりがシラネアオイの群生地らしいので、周囲に目を凝らすものの葉っぱひとつ確認できません。今年は春先の雪が多かったせいでしょうか。あるいは全部盗掘されてしまったなんてことはないでしょうが、わざわざこの山中に電気柵まで張られてあって斜面に保護地が設けられていました。
 ここまで登ってきてはじめて、溶岩におおわれたドーム状の日光白根山の全容を目にすることができます。
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 しばし休憩ののち、むかって右手のガレ場から岩陵帯のルートを行く。お天気は快晴に変わり、残雪の多いところでは春山登山のような気分であります。
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 1時間ほどの急な登りでだいぶ汗をかかされて登頂。360度の展望は山登りの醍醐味であります。頂上でお決まりの写真を。お山の大将の中高年4人組ですね。
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 林間学校かなにかで集団登山にやってきた中学生たちのにぎやかな声が頂上に迫ってきたので、ゆっくり食事をとる間もなく、追われるように頂上を明け渡します。時間はまだ午前10時でしたが、前白根山を前景に、中禅寺湖、戦場ヶ原を眼下にのんびり下りはじめるころには、東方面から雲がやや多くなって男体山は隠れてしまいました。


 今回は見られなかったので、何年か前に新潟の山中で撮影したシラネオアイをご覧いただきましょう。日光地方の固有種というわけではありませんが、この白根山で多く見られたことからシラネアオイ(白根葵)と名付けられました。以前はキンポウゲ科に入れられていましたが、シラネアオイ科として分類し直されました。シラネアオイ科シラネアオイ属シラネアオイという、1属1種の日本固有種であります。
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by fuefukin | 2008-06-17 15:54 | 山旅

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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