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辛夷と白木蓮

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 家の近辺で辛夷がようやく咲き始めました。このところの真冬のような風と、その前の春本番のような陽気と、長かった暖冬傾向のためなのか、木によってまだ全部が堅いつぼみであったり五分咲きほどになっているものもあったり、また咲いている木の中でも日当たりの影響もあるのか早くも黄ばみはじめている花もあったりして、ばらばらであります。辛夷のような木の場合、ある日を境にして一斉に木ぜんたいが満艦飾になるというのが実にドラマチックで、いかにも本日ただいまここに春がやってきたという象徴のような気がして、それを見るのがほんとに嬉しくて新しい春をまた一生懸命生きていこうという心持ちにさせるものでありますが、まあそんなにうまくいかないのが天然自然の妙であって、鑑賞者のセンチメンタルなど受け入れてはくれない厳しい一面もそこにあるのであります。
 今週はじめ、都心の住宅街で見かけた白木蓮。ちょうどつぼみが開いたばかりの花、やや盛りの花、盛りを過ぎた花、三者を一枚の画面に収めてみました。人間で言ったら、十代、二十代、三十代をとばして四十代といったところでしょうか。見る人によってさまざまでしょうが、うまく適度に各年代がばらけていることによって社会のバランスがとれるのであって、遍在していたりある世代がごそっと抜け落ちたりするのは不幸な戦争や革命、あるいは過度のコントロールの結果であって、けして繰り返してはならないことであります。60年以上も前の戦争では、足りなくなった戦闘人員を補うために丁年壮年世代ばかりでなく少年兵や中年兵まで前線に送りだして異土の骸としたのは、施政者が誤った結果の悲劇でありました。ぱあっと咲いてぱあっと散るなんてことはあまり望まないほうがいいのかもしれませんね。
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by fuefukin | 2007-03-18 11:01 | 花の写真

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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