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バルカンへの旅 22. ドブロヴニクとナポレオン

 クロアチアのダルマチア海岸一帯は19世紀初頭のごく一時期、皇帝ナポレオンのフランス支配下にあって、ドブロヴニクも数百年続いた自治独立を手放さざるを得なくなります。ナポレオンの軍隊は数年もせずに撤退し、南部のドブロヴニクあたりまでオーストリア・ハンガリー帝国が占領下することになるのですが、たぶんナポレオン隆盛当時のものでありましょう、ドブロヴニク市に宛てたナポレオンの手紙を、スポンザ宮2階の公文書館で特別に拝見することができました。
 公文書館でいちばん古いという羊皮紙に印刷された貴重な古文書や土地台帳などを見せてもらったあと、「日本からのお客さんに特別にご覧いただきましょう」となにやらもったいぶった台詞で取り出してくれたのが、Napoleon と自筆のサインがされた文書であります。中央にあるサインがそれですね。
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 ところがなんとまぬけなことに、どんな内容の手紙なのか聞き漏らしてしまいました。なにか命令書のようなものであろうことは推測できますが、次の機会に確かめることにしましょう。
 旧市街の背後のスルジ山にのぼると町を俯瞰できます。クロアチア独立戦争のときには、この山頂に陣取ったユーゴスラビア連邦軍による砲撃が町を襲いました。町はかなりの打撃を受け、死傷者も多数でたそうであります。一昨年訪れたときには、その被害を告知する看板が何カ所にもありましたが、なぜか今回は見当たりませんでした。山頂のレストランもロープウェイも、その折に破壊されたまま、現在もその姿をさらしています。
 山頂の一角にナポレオンが贈ったという大きな十字架がアドリア海と町を見下ろすように立っています。世界遺産の町の展望も抜群であります。
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by fuefukin | 2007-01-19 00:38 | バルカンへの旅(2)

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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