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ヒマラヤの国ブータンの風物 4(了)

 京都を訪れた国王夫妻があいにくの雨の金閣寺で記念撮影の際、住職さんに傘をさしかけていたどなたかが遠慮したのか傘を持ったまま退いてしまった。住職さんは当然雨に濡れてしまうが、それぞれ傘を持って左右にいた国王夫妻、どちらともなく住職の頭上に傘を寄せるのだね。そんな何気ない気遣い、心遣いを21世紀の現代にしっかりと残しているのがブータンという国なんだと思わせる瞬時の出来事だったな。
 わたくしが訪問した20年近く前でも、ガイド役の青年になにか物を手渡すことがあると、彼は両手で押し頂くようにして軽く頭を下げて、それから一歩下がるという仕草をする。はっとわたくしは驚きましたねえ。すでにそのころにしてわが国にもたしかあったものの、失われて久しいそうした当然の所作を、ヒマラヤの小国であらためて確認したことに驚嘆したわけであります。
 小さな国とはいえ面倒な少数民族問題や隣国インドや中国との経済軋轢、ネパール難民問題などもあって、ブータンという国を手放しで賞賛するわけではないが、そうした課題は課題として、国ぜんたいの幸福を高めようという、前国王以来の国是こそ世界に誇るものだと思う。国の大小でもなく、経済の軽重でもなく、世界のお手本として、わが日本も見習うところ多しと考えるのでありますね。

 それではブータンの子供たちのはにかむような笑顔から。
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 チベットからブータンに仏教を伝えたニンマ派の創始者グル・リンポチェ(パドマ・サンババ)が虎に乗って飛んできたとされる聖地タクツァアン寺院。遠望と崖の中腹の境内。
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 庭で機織り。
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 干し肉づくり。
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 パロ国際空港の朝。
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 カトマンズに向かって空港を飛び立ってしばらくすると、右手にチベットとの境界に立つブータンの最高峰チョモラリ(標高7326メートル)が姿をあらわした。また来るよと手を振ったが、再訪は果たせていない。
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 さてこれにてブータン国王夫妻訪日にあわせてご覧いただこうと思い立った、20年近く前に訪れたブータンの旅の記録はおしまい。感想をお聞かせいただけるなら幸いなり。
 写真はいずれもポジからのスキャン画像。
by fuefukin | 2011-11-23 09:57 | ブータンの風物

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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