ややっ? キリマンジャロか
2010年 11月 09日
どことなくアフリカ大陸最高峰キリマンジャロの遠望を思い起こさせますが、先週のいつだったか、わが家ベランダから見えた富士山でございます。頂上付近の冠雪部分だけが雲の上に浮かび上がって、かすんだ前山とあいまって、こんなふうな錯覚をさせたのでした。といってもキリマンジャロは憧れのままの山でありまして、わたくしはまだ登りに行ったことはありませんが。
ついでに言っておくと、キリマンジャロの頂上付近の永久凍土はこの100年で半減どころか80パーセントも減少しているらしい。文豪ヘミングウェイは実際に登山したかどうかいますぐには確認できないが、
「キリマンジャロは、高さ19710フィートの、雪におおわれた山で、アフリカ第一の高峰だといわれる。その西の頂はマサイ語で“神の家”と呼ばれ、その西の山頂のすぐそばには、ひからびて凍りついた一頭の豹の屍が横たわっている。そんな高いところまで、その豹が何を求めてきたのか、いままで誰も説明したものがいない」(龍口直太郎訳)
と『キリマンジャロの雪』に書いている。あるいは山頂の豹はヘミングウェイの夢想であったかもしれないが、彼がこの作品を発表してからすでに70年以上、ほんとうに存在したかもしれないひからびて凍りついた一頭の豹の屍は、いまや現実でも幻となっているだろう。
いっぽう富士山も、静岡県側の南斜面で「1976年夏の地温観測により3200メートル付近と推定されていた永久凍土の下限が、2000年8月から1年間行われた国立極地研究所(極地研)や静岡大、筑波大による初の地中温度連続観測で、約25年の間に標高差で約300メートルも山頂側に後退した」(富士山NETより)ことが発表されている。さらに現在では頂上付近でも部分的に消失している場所もあって、加えて昨年は通常2500メートルあたりまでしか生息していない種子植物のタカネノガリヤス(イネ科)やイワツメクサ(ナデシコ科)が頂上でも確認されたという。
日本は大陸ではありませんが、わが国の最高峰も、アフリカ大陸の最高峰も、ひとつ地球の温暖化のみが原因と言えるわけではないものの、ともに危機的状況にあるのでありますね。以上、わが家からの観測情報でありました。
姉妹ブログ杣口通信[里山便り②]も週末の模様を更新しました。あわせてご覧あれ。