新緑メタセコイヤ並木

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 ずいぶん前から気にかかっていた大木の並木。
 車で通りかかるたびに、家並のあいだに見え隠れするその並木が何の樹か、おそらく樹形からメタセコイアであろうという見当はついていたが、どこか企業の敷地内のものと思って、気になりつつも調査を怠っていた。
 つい先日、太陽が大岳山の肩にかかってきれいな落日になりそうだったので、どこか高いところ、そうだあそこなら多少は眺めが得られるかと思いつき、圏央道に並走する道路がJR五日市線をまたぐ陸橋の頂上に、たもとに車を止め上がってみました。あいにく時すでに遅く、日はすでに沈んでしまって夕焼けもさほどきれいでもないが、家並の向こうに気になっていた並木が新緑を伸ばして背比べしているのが確認されたのでした。歩道の手すりによじ登り、望遠レンズで切り取ったのが上の写真。
 そこでおだやかに春らしくあたたかに晴れ上がった2日前の午前、並木のある場所へ出かけてみました。わたくしはてっきり企業の敷地の中の樹木かと思っていたのですが、そこはどうやら空き地でありました。あるいは空き地に整地されたばかりと思える状況で、周囲を金網で囲われ、ごく普通の立ち位置の撮影では金網に邪魔されてうまく撮影できません。仕方なく金網の下部の隙間からカメラだけ差し入れてシャッターを切ったり、背伸びして金網の上部にカメラを置いてノーファインダーで撮影するほかないので、ちょっと水平のとれていない写真ですが新緑のメタセコイア並木をどうぞ。
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 並木はおよそ300メートルほどの長さで2列、それぞれの樹はひと抱え以上はありそう。いまの新緑の季節だけでなく、夏の日も紅葉の季節にも、じつに気分よく散歩が楽しめそうな空間が広がっています。

 いろいろと調べたところ、このかなりな面積の空き地は1965(昭和40)年に設立され2001(平成13)年度をもって40年の歴史を閉じた都立秋川高校のあった場所。イギリスの全寮制名門校イートン・カレッジをモデルに本格的なパブリック・スクールを目指してわが国初の全寮制公立高校として発足したが、当初主として海外帰国子弟や転勤族の子弟を受け入れてきたものの、入学希望者が減少したため環境が勉学に適さない家庭の子弟などにも門戸を開放した結果、寮内で喫煙や暴力事件が起こるようになり学力も年々低下、中途退学する生徒が相次ぐようになり、やむなく廃校に追い込まれたというのがネット上で調べることのできた簡略な経緯であります。イギリスの学校をモデルにしたということでありますが、あちらは私立でありますからねえ、お役人が全関与する公立高校というのでは、日本では無理があったのかもしれません。時代は東京オリンピックで浮揚した日本経済が、多少の浮き沈みはあるものの株価4万円寸前まで盛り上がったのち失速したバブルの後始末に追われた期間の40年間とぴったり重なります。
 廃校と決まる前に体育・福祉系高校に模様替えする案も検討されていたらしいが、2000年夏の三宅島噴火で全島強制避難を余儀なくされたさい、都立三宅高校、 三宅中学、三宅小学校の臨時分校を置くことで学校としての機能は続いたが、避難が解除され生徒たちの帰島がなったあとの敷地はどうなっていたか。そういえば昨年中は工事用の遮蔽板がぐるりと取り囲んでいたような記憶があるが、中では校舎や寮などの建物の撤去が進められていたようだ。そしてこの春、撤去工事は終了し、学校設立とともに植栽されたらしいメタセコイア並木は残された! 
 次の晴れ間には脚立をかついで大きいカメラで撮影しようと目論んでおります。
Commented by ごまねこ at 2010-05-01 09:34 x
大きな樹はなんとしても残したいですね。建物も、時間とともに発酵して(林望さんの言葉ですが・・)いい味になってゆく素材を使ってあれば大事にするのでしょうね。
Commented by fuefukin at 2010-05-04 19:51
そう、切ったらおしまいですからね。
樹齢100年の樹であっても、ぼくらが気にかけて付き合うことができる時間はせいぜい半分もあればいいくらいですからね。次世代に樹の歴史を伝えていってあげましょう。
by fuefukin | 2010-04-28 10:17 | ネイチャーフォト | Comments(2)

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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