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十日夜(とおかんや)

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 しばらく前、わが家のベランダでバケツ田んぼの稲刈りをしましたが、そのときに刈り取った黒米の切り株がこの写真。黒米といいながら、切り株の茎の根元の切り口はこんなふうに鮮やかな紫色で、そういえば稲の茎の切り口の色なんてこれまでちゃんと見たことがなかったなあなどと、われながら不思議な感懐とともにたった1回だけシャッターボタンを押したのでありました。同時に刈り取ったコシヒカリのほうはごく普通に緑色でしたから、よけい色の特異さが記憶に残ったのですね。
 古代米の中には赤米や紫米というのもありますから、いわゆる古代米の系統は米そのものの外皮だけでなく、茎に至るまでこんなアントシアニン系の紫黒色素を持っているのでしょう。黒米には主にビタミンB、ビタミンEなどのほか、リン、カルシウムなどのミネラル分が豊富に含まれていて、滋養強壮に作用し、さらにポリフェノールの一種であるアントシアニンには視力増強や肝機能の強化の作用があるとされているようなので、茎にこれほど色素が残っているのなら、稲藁の新たな使い道もいろいろ考えられてもよさそうですが。
 十数年前にブータンを旅したおり、一晩、伝統的な農家で夕餉の膳についたことがありました。たしか豚肉を煮たものとか、唐辛子と野菜の炒め物などとともに出されたのが赤米だったような記憶があります。おそらくろうそく1本くらいの明かりしかなかったはずなので、撮影もできなかった記憶とともに、円盤状に茅か稲の茎で編まれた丸い盆に盛りつけられた料理を手でいただいて、白米ほどにねっとりしていない、多少ぱらつき感のある米を口に運んだ右手の記憶もたしかに残っています。
 さて、きょうは旧暦の10月10日、「十日夜」(とおかんや)であります。この日の夕、稲刈りを終わって田の神が山へ帰っていくのを送る行事がおこなわれていたそうですが、現在ではどうなのでしょうか。藁鉄砲で地面を打ってもぐらの害を払うなど、作物の豊穣を祈る民間行事があったそうですが、最近は歳時ニュースにもなりませんね。この十日夜のお月見は、旧暦8月15日の「十五夜」、旧暦9月13日の「十三夜」とともに三月見ともいわれ、三夜とも晴れるといいことがあるという言い伝えもあるそうです。わたくしは今年「十五夜」はたしか雨天で見えず、「十三夜」はおそらく見たはず、今夜「十日夜」の太りはじめた上弦の月は東南の空に見られそうですから、三分の二の確率でいいことが起こるかもしれません。うまく見られたら明日は宝くじ売り場に直行しましょうかねえ。
by fuefukin | 2009-11-26 10:46

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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