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コソボとチベットに思う

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 ギリシアのオリンピア遺跡で、今夏予定されている北京オリンピックのための聖火の採火式が行われるのを前に、チベット族の活動家グループが10日、実際の式典をまねた採火式を行ったというニュースは、ウェブ上でしかお目にかかれなかった。採火されたトーチの火は当地のギリシア警察の手で消されてしまい、本物の聖火とは別に、世界をリレーして北京の開会式が行われるのと同じ8月8日にチベットへ持ち込もうという目論見は果たせなくなったようです。
 これより先の今月2日、上海でコンサートを行ったアイスランドの歌姫ビョークは、プログラムに予定されていなかった「ディクレア・インディペンデンス(独立を宣言せよ)」という歌のなかで、チベット、チベットと叫んで、中国ではけっこう大騒ぎになっていたらしい。
 そして今回のラサでの騒ぎ。ニュースでは暴動という表現しか使われていないが、実際は抗議のデモを当局が過激に取り締まった結果の不幸な出来事であるように感じられる。1959年以来ダラムサラに亡命中のダライ・ラマ14世はインタビューに答えて、いま起こっている事態は文化的ジェノサイド、武力行使に頼った恐怖による統治、自分たちの土地に住みながらチベット人は二級市民として扱われている、として信頼に足る国際機関による調査を求めた。
 現在の中国国家主席は89年のラサ争乱事件をチベット自治区党書記として武力をもって鎮圧にあたった人。自治区主席には北京中央から送られる漢族、副主席には当地の民族出身者という二重統治が現在でも続いているようであります。
 男子マラソンの世界記録を持つトップランナーが大気汚染を理由に北京不参加を表明したり、アメリカの俳優リチャード・ギアがボイコットを求めたり、さていったいオリンピックはどうなるのか、それ以上にチベットがどうなっていくかを注意深く見守らなければいけませんね。

 アイスランドの歌姫ビョークは、香港、上海の前に日本でもコンサートを開いておりました。もちろんわたくしは出かけることはなかったのですが、東京のコンサートでは上記の同じ曲の場面で、コソボ、コソボと叫んだという情報もあります。日本の観客がどう応じたのかわかりませんが、あるいはそれ以上にこうしたニュースがおそらくいっさい報じられなかったことが、日本におけるコソボ問題の現状であるのでしょう。
 チベットだけに限らず、中国はウイグルや台湾も抱えています。ロシアはチェチェンという100年も続く課題を持ち、ヨーロッパでは結局北アイルランドは棚上げされたまま、下火になっているとはいえバスク問題も片付いていませんね。中東でも火種は消えていません。革命と戦争の20世紀を越えて、はたして真に平和の21世紀はやってくるのでしょうか。


 
by fuefukin | 2008-03-17 09:38

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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