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茗荷の花

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 これまであまりしげしげと観察したことがないが、よくよく見れば、きれいな花だ。
 花といっても、薄黄色のこの部分だけが花というわけではなく、ふだんわれわれが食している筍状の部分も含めて、ぜんたいが花である。つまりわれわれは茗荷の花そのものを食べているというわけだ。薄黄色の花びらに見える部分は雄しべが変化したものらしく、雌しべから花粉も出るが、遺伝子が5倍体のため、実が成ることはごく稀で、繁殖は地下茎による。
 釈迦の弟子であった周利槃特(スリバンドク)は物覚えがひどくわるく、教典をそらんずることはおろか自分の名前すら忘れてしまうことさえあった。そこで釈迦は、名荷(みょうが=名札のこと)を首にかけさせたが、槃特は名荷を首にかけたことさえも忘れてしまう。よみが同じこの故事から、茗荷を食べると物忘れをするという俗信が生まれたらしいが、真偽は定かではない。
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 先日山の小屋で大量に収穫した。同行のみなさんと山分けしたが、それでも大きなボール一杯ほど持ち帰って梅酢に漬けた。そろそろいい漬かり具合になってきただろうから、もともと記憶力なんてないようなものだから、物忘れするなどとよけいな心配などしないで、お酒の宛てにぼりぼりむさぼり食うことにしよう。
by fuefukin | 2011-09-01 11:20 | 花の写真

日常の延長に旅があるなら、旅の延長は日常にある。ゆえに今日という日は常に旅の第一歩である。書籍編集者@福生が贈る国内外の旅と日常、世界の音楽と楽器のあれやこれや。


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