病臥していた根岸の家で、「けさは寒いね」と何気なくつぶやいた子規に、母親は「毎年よ、彼岸の入りに寒いのは」と応えたのでした。返事がそのまま五七五の句になっているのに気づいた子規は、「母の詞自ら句になりて」と前書きして書き留めた。
毎年よ彼岸の入りに寒いのは
これが子規の言う写生で、近代俳句の始まりというわけではありませんが、現代の Twitter のつぶやきにも似た感覚があって興味深い。
彼岸入り、中日を越えてもまだ冬は去りがたく居残って、被災地の人たちの生活を苦しいものにしています。おだやかな春の訪れの早からんことを祈るばかりであります。